ヘラブナの生態01 【ヒゲもないし、胃もない】
世界のフィッシングメーカーSHIMANOさんの魚拓カレンダー(2020)の4月は「へら鮒」です。
ヘラブナはもともと、琵琶湖の固有種であるゲンゴロウブナの突然変異種です。
ゲンゴロウブナは140万年~40万年前の第四紀更新世の琵琶湖の地層からも化石が出るぐらい、昔から日本にいるフナです。(ナウマンゾウ時代より前です)
そのゲンゴロウブナの中で体高があって採肉量が多いものを食用魚として、明治時代に育種されたものがヘラブナです。その後、「ヘラブナ釣り」という文化が大正時代に生まれて、全国に広がります。
成長がはやく体高が高い
先述したようにヘラブナの特徴は、体高が高い事です。体高が高く扁平で「箆(へら)」に似ていたので、「ヘラブナ」と呼ばれるようになりました。
特徴としては体高が高いが故の肩の盛り上がりで、ギンブナやゲンゴロウブナと一線を画します。
また、成長自体も早い事が知れていまして、2~3年で30cmになると言われいます。ちなみに釣り上げられたヘラブナの日本記録は64cmです。現在でも、青森県の三沢市歴史民俗資料館にホルマリン漬けで展示されています。
1980年の記録ですから、40年間、その記録は破られていません。現在でもヘラブナ釣りの人気は健在ですが、今後、その記録が破られる事はあるのでしょうか?
その他、ヘラブナの特徴にはどんなものがあるでしょうか?
フナにはひげがない
フナはコイの仲間であることは疑いもありません。分類的にはコイ目コイ科コイ亜科フナ属です。コイは唇の左右に長短2対のヒゲを持っていますが、フナにはありません。
コイのヒゲ
このヒゲとは何の役割を果たしているのでしょうか?
ヒゲのある淡水魚としては、コイ以外にナマズやドジョウが挙げられます、ナマズやドジョウの仲間では、ヒゲは匂いや味を感知している味覚器官である事が知られています。
しかしながら、コイのヒゲの機能は退化して、その機能が低いとされています。フナはさらに退化して、ヒゲ自体がなくなったのかもしれませんね。
ちなみに…
コイやナマズが地震の前に騒ぎ出すというのは、ヒゲで感知しているわけではなく、「地震の電磁波」を「水の振動」として、側線を通して頭部にある内耳に伝えるためではないかと言われています。
水中における音の伝わる速度は空気中に比べると5倍以上速いので、そのような行動が見られるのかもしれません(見られないかもしれませんが…)。
フナは胃のない無胃魚?
更にフナの特徴を掘り進めます。
実はフナ・コイ・メダカは解剖学的に胃がなく、無胃魚と言われております。
そして、胃が無いということは「満腹」という感覚がない事になります。
実際にクロダイなどの胃がある魚に比べると、コイやフナでは満腹と空腹と違いで摂食行動にあまり差がない事も報告されています。また、食べ物を胃に保持できないために、食べたものをすぐに排泄しなければならず、食べ続けなればなりません。
胃のあるタイは食物の消化に十数時間かかるのに対し、コイは数十分という研究もあります。
その意味では、明確な地合いが無いのが特徴かもしれません。
釣り人泣かせです。
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まとめ
・ヘラブナは、琵琶湖の固有種であるゲンゴロウブナの突然変異種です
・コイにはヒゲがありますが、フナにはありません
・フナやコイは胃のない無胃魚と呼ばれています
参考
http://www.palaeo-soc-japan.jp/publications/105_Miyata.pdf
http://www.nikken-web.net/nikken%20rekishi.html
http://fishing.shimano.co.jp/tamatebako/kyobera01.html
https://www.marukyu.com/marukyu/book/tansui/begin/01.pdf