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ヘラブナ12【Cool Japan】なぜあの人は、和歌山の竹竿を使うのか?

世界各国の審査員100人が「クール (かっこいい)」と認定するCool Japan Award 2019に「ヘラブナ釣りと紀州ヘラ竿の町 橋本」が認定されました。

ご存じの通り、ヘラ竿は竹を原料に加工され、漆塗りでできていますから、「日本らしいかっこよさ」がそこにあります。

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  和歌山県橋本市のヘラ竿(引用; Cool Japan Award HP)

Cool Japanとは

内閣府によりますとCool Japanとは「外国人がかっこいい思う日本の魅力」の事を言います。日本はそれを海外に発信する事で、日本というブランドを作り経済成長につなげるという戦略を2010年から展開しています。

2019年のCool Japan Awardでは上記の「ヘラブナ釣りと紀州ヘラ竿の町 橋本」以外に、静岡の奥大井湖上駅や秋田の八幡平ドラゴンアイなどが受賞しています。

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  引用; Cool Japan Award HP

 上記のような受賞対象を見ますと、今回のヘラブナ釣りとヘラ竿の受賞がどれだけ名誉な事かが伝わってきます。

竹製のヘラ竿の未来は明るい…か?

ヘラ竿は「かっこよくて」しかも「Cool Japanの賞を取った」のですから、反射的に「未来は明るい」と感じてしまいますが、実際はどうなのでしょうか?

実はそうでもありません。

実際は、竹製のヘラ竿を使う人は、減少傾向にあります今回の記事では、その点にフォーカスして紹介させて頂きたいと思います。

なぜ竹製の竿を使うのか?

現在の釣具屋さんで見かける一般的な竿はカーボンかグラスファイバーでてきています。カーボン製の釣り竿は、竹に比べて強く、軽くて扱いやすいというメリットがあります。そして、ヘラブナのヘラ竿に関しても、同様にカーボンが主流となりつつあります。

つまり、竹製の竿を使うという事は、すでに「高性能のモノがあるのに、わざわざ使う」という感覚になっています。

しかし、ある一定の割り合いで竹製の竿を使用されている方もいらっしゃるのも現実です。 では、その方々は、なぜ、わざわざ竹製の竿を使用するのでしょうか?

これには答えがありませんし、竹竿を使用している方々でも明確な答えを持っている方に出会ったこともありません。答えに窮して歯がゆい思いをした方も居られるのではないでしょうか。

 

竹竿を使う動機は、なかなか説明できないかもしれませんが、私はそのヒントが弓道にあるのではないかと感じています。ヘラブナ釣りと弓道の状況とあまりにも似ているので、その紹介させていただきます。

弓道では「なぜ竹製の弓をつかうのか」

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弓道の世界でも同じような事が起こっています。

弓はもともと竹製でした。そのうちグラスファイバーやカーボン製の弓が生まれ、現在の主流となっています。カーボンは「しなやか」であるが故に、弓を軽く引くことができるというメリットや、手入れが簡単というメリットがあります。

初心者が弓を求める際には、竹製の弓を勧められる事はまずありません。竹製の弓を使うのは3~4段以上の高段位を方が中心です。

理由として言われるのは、上級者になると弓道自体が「競技」という側面に加え「精神修養」という側面が生まれてくるからで、その精神の中には「心や所作の美しさ」という概念があるという事です。

つまり「的に当てさえすれば良い」という事ではないのです。

Cool Japan Award 2019では「青森の桜流鏑馬」が選出されていますが、確かに「凛とした美しさ」を感じる事ができます。

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  青森県の桜流鏑馬(引用; Cool Japan Award HP)

 

へら釣りが特殊な釣りであるという認識

弓道の話から、私はヘラブナ釣りも単なる「釣り」という側面に加えて武道のような「精神修養」という一面もあるのではないかと考えています。特にヘラブナ釣りの「静」から「動」への変化は武道そのものに感じています。

また、釣り人の中でも「ヘラブナ釣り」は特殊な上位の「釣り」として考える節があり、知らず知らずの内にその「特殊な何か」を感じとっている事は間違いありません。その点では、屁理屈を付けずに、単に「Cool」と言った外国審査員の方が素直だったのかもしれません。

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武道が「礼に始まり、礼に終わる」なら、釣りは「フナに始まり、フナに終わる」と言われています。皆さまもこの機会に、その意味をもう一度考えてみてはいかがでしょうか?

和歌山県 橋本市

高野山の玄関口」と言われている橋本市は、ヘラ竿の国内シェア90%を誇っています。市内には、隠れ谷池と言うヘラ竿を作る職人たちの試験用研究の池があり、釣り掘として一般の方にも公開されていますので高野山に行く前に立ち寄ってみてはいかがでしょうか?貸し竿もありますので、手ぶらで立ち寄れますよ。

隠れ谷池HP:https://kakuredaniikecyan.wixsite.com/kakuredani

 

まとめ

和歌山県橋本市のヘラ竿がCool Japan Award 2019に選出された

・フナ釣りに竹製の竿を使用するのは武道に近いからである

参考

https://www.cao.go.jp/cool_japan/about/about.html

http://www.cooljapan.info/

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