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【すだて漁】江戸前で家族の狩猟魂に火をつけろ(スズキ13)

休日に家族や恋人同士で「魚釣り」に出かける事があると思います。

「折角だから釣らせてあげたい」という気持ちばかりが先走って、結局は「釣れない」、しかも「自分も楽しめない」という最悪のケースに陥る事も多々あると思います。せっかく釣りに来たのに残念な休日ですね。

そんな皆様にお勧めするのは、ズバリ「すだて漁」です。

すだて(簀立て)漁とは

簀(す)とは、すだれのように竹を編んだものをいいます。

それを干潮時に海の浅瀬に立てて、魚が逃げられないように大きな迷路を作るのがすだて漁です。

魚類は障害物にぶつかった際には、その障害物に沿って移動するという習性がありますので、その習性をうまく利用して、先端の溜まり部分に魚を集める漁となります。

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先端に溜まった魚は、皆で海に入ってアミで捕まえます。

狩猟魂に火が付く

膝まで海に浸かって浅瀬をどんどん進むと、もう、バチャバチャと大物がうごめいています。この瞬間がたまりません。狩猟魂に火が付きます

ただし思い出してください。

ここは、子供や女性に楽しんでもらうために来た場所です。特に大きなスズキなどは、まさに早いもの勝ちになりますので、「我先に…」とならない心の強さが必要になります。

ちょっと視点を変えて、ワタリガニ狙いとかが、ちょうどいいかもしれません。

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すだて漁で捕れる魚

現在すだて漁が行われているのは千葉県の木更津なので、江戸前の魚になります。

スズキやボラ、クロダイ、アナゴなどは当たり前ですが、運良ければ、ダツ、アオリイカなどもかかります。

ダツが東京湾で捕れるのかと驚きがありますが、その他、真鯛、カレイ、マゴチ、ワタリガニなども捕れます。

すだて漁の歴史

それではここで、このすだれ漁の歴史を見てきましょう。

千葉県のすだれ漁の歴史の始まりは大正時代とされています。

旅館のイベントとして始まったのがきっかけで、それが千葉県に広く伝わりました。

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引用;ホテル静養園HP(静養園は現在閉館)

海水浴と潮干狩りを足したようなイベントですから、さぞかし盛り上がったと想像できます。しかし、その「すだて漁」ですが、大正時代以前はどこで行われていたのでしょうか?

 琵琶湖の魞漁(エリ漁)

千葉県のすだて漁の起源は、琵琶湖の魞漁(エリ漁)にあります。

魚を捕まえる原理は全く同じですが、琵琶湖の魞漁はその規模が1㎞にも及ぶ巨大なモノで、もはや湖上の建築物と言えるぐらいです。史実が残っているだけでも平安時代の文章がありますので、1000年以上の歴史があるとされています。

下のリンクは、琵琶湖の魞漁に関する動画ですが、これを見て頂ければ、その巨大さが分かって頂けると思います。

www.youtube.com

フナを捕まえる魞漁の時には、網の目を粗くし、琵琶湖の小鮎のような小さな魚が逃げられるように工夫されています。まさに、太古の昔から受け継がれる持続可能な漁業です。

皆様も歴史を感じつつ、狩猟魂に火をつけてみてはいかがでしょうか?

最後に

富津市埋立記念館の建築デザインをご覧ください。

この記念館は、漁に使用した船や器具の展示を通して、埋め立て前の海の姿を紹介し、若い世代に伝える施設です。何か気づきませんでしょうか?

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引用:富津市HP

外観の曲線は「すだて」をイメージして設計されたとの事です。

住所 千葉県富津市新井932‐3

https://www.city.futtsu.lg.jp/0000000915.html

まとめ

ご家族皆様で「すだて漁」をお楽しみください

すだて漁に関する連絡先;

網元つぼや、平日:大人一人6,500円(小学生以下一人3,000円)

http://sudate.web.fc2.com/sudate02.html

すだて実三丸

https://jitsusanmaru.grupo.jp/

 

 参考:

https://maruchiba.jp/hojin/kankousozaisheet/documents/26kisarazu1.pdf

http://www.ne.jp/asahi/anesaki/ichihara/umi/sudate/sudate.htm

kenkyuhokoku_162_08 (2)近世・近代史料による琵琶湖のエリ発達史の再検討

https://www.shigabunka.net/archives/65

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