アマゴの生態(番外編) 外来種【外来種が持ち込んだ感染症の話】
以前の記事、アマゴの生態04では、ニジマスが外来種であることを紹介しました。
アメリカから輸入されたものが北海道に定着
今回の記事では、外来種とそれが持ち込んだ感染症にフォーカスします。
それではまず、感染症の前に、外来種の影響を考えてみましょう。
外来種について
典型的な例として、ブラックバスの歴史を考えますと、在来種に対して外来種はとかく悪者になりがちです。
実際にニジマスに関しては論争にもなっています。
ニジマスをめぐって大論争が起きている
ブラックバスやニジマスだけでなく、外来種は「生態系を壊すから…」といえば簡単に悪者になってしまいます。
しかし、悪い点ばかりでもありません。
ご存じの通り…
実際、我々はすでにサーモンと称されるトラウト類を食べているわけですから、養殖の恩恵を受けているのも間違いないです。
これは、簡単な問題ではないようです。
そして、この問題は、最近よく耳にするSDGs(持続可能な開発目標)の一つ(目標15)にも含まれていますし、今後も我々の課題になると思われます。
陸淡水生態系の保全、回復、および持続可能な利用を確保する
そもそも生態系ってなんだと思う人は、前回の記事08の佐藤先生の記事をご覧下さい。
神戸大学・佐藤拓哉先生の視点が深オモシロい
それでは、外来種はどうやって生態系を壊すのでしょうか?
外来種の影響
下の表に外来種が在来種に与える影響に関して記載しました。
捕食・競合・交雑などの項目は比較的、簡単に想像つきますが、ウイルスの持ち込みといった感染症なども生態系の破壊にあたります。
2020年は、人類が世界は新型コロナウイルス(COVID-19)の脅威に直面していますから、改めて感染症は大きな問題だと感じます。
実際にはどんな例があるのでしょうか。
ハダムシ症
アマゴのような淡水魚では、外来魚からの感染症例はなかったのですが、ブリなどに感染してハダムシ症の原因となるハダムシの一種は、中国産カンパチともに日本に持ち込まれたと報告されています。
ブリ
ハダムシは吸盤で体表に吸着して、刺激を感じた魚は体を繰り返し擦り付け、自らを傷つけます。そして、その傷は細菌などの2次感染のへ原因になってしまいます。
特に養殖業では深刻な問題で、ハダムシの被害・駆除する過酸化水素製剤水などの薬液にかかる費用・魚を薬液に浸す作業等の労力は、現在でも養殖業に関わる方々の問題になっています。
人間の生活のために魚を養殖をしているのに、寄生虫を持ち込んで、その駆除に合成された薬剤を使うことは、明らかに“生態系と人間の活動との「適正な関わり」”とは言えませんね。
まさに我々の生活が抱える問題なのかもしれません。
まとめ
・生態系のバランスを崩すので、外来種はやはり脅威
・生態系と人間の活動のバランスの考えて、「適正な関わり」を目指しましょう
参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/taxa/43/0/43_11/_pdf
http://www.fish-jfrca.jp/05/pdf/boueki/kanpachi_manual.pdf
http://kagoshima.suigi.jp/jigyouhoukoku/book/h29/水産/安心安全.pdf