アマゴの生態07 お刺身が不安な方へ、寄生虫の話
以前の記事(アマゴの生態05)では、アマゴのお刺身を食べた話をしました。
養殖のアマゴのお刺身はピンク色
養殖アマゴのお刺身は、ピンク色でサケの仲間である事がわかります。
もちろん、食べる前に「寄生虫のリスク」が頭をよぎったのですが、その養殖場の実績を信じて食べる事にしました。
では、アマゴの生食において、「寄生虫のリスク」とは、どの程度なんでしょうか?
寄生虫の種類
下の表は、「確実」に人体に影響する淡水魚由来の寄生虫です。
皆さん、上記の魚の生食には気を付けて下さいね。
わが国ではトレッキングやキャンプ人口も増えて、感染する可能性の高い寄生虫であると考えられる。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsk/55/0/55_KJ00005423391/_pdf
森林科学55(2009)
この表のなかでは、最も有名なのがアニサキスですね。アニサキスの原因は、「サケやマスの生食」と記載されていますので、ちょっと気になります。
しかしアニサキスは海の魚の寄生虫なので、淡水にすむアマゴのお刺身にはあまり関係ありません。ただし、アマゴの降海型であるサツキマスには関係しますので、サツキマスの生食は気を付けてください。
アマゴとサツキマスは同種です。
本題に戻りまして、表をもう一度確認します。
どこにもアマゴの文字はありません。それでは、淡水に住むアマゴのお刺身は「安全」と言い切れるのでしょうか?
ヤマメにも寄生する顎口虫(がっこうちゅう)
上の表では、顎口虫が寄生している魚類は「主にドジョウ」です。
しかし、更に細かく調べられた報告を見ますと、ちょっと気になる記載もあります。
下表は、淡水魚の顎口虫の陽性率を調べた結果です。
気になる記載もありまね。
ヤマメを含むサケ類も日本顎口虫症の感染源として重視すべきものと考えられた。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jvma1951/49/8/49_8_574/_pdf
日獣会誌49(1996)
どうやら、顎口虫はヤマメにもいます・・・
ヤマメです…
そして、普通に考えますと・・・
ヤマメにいるという事は、アマゴにもいるかもしれません。実際にアマゴの可能性を否定できない顎口虫症の症例報告もあるのも事実です。
アマゴにもいるかも…
まあ、不安を感じるのは、当たり前なのですが、上記の数はあくまでも「野生」のヤマメの数字です。「養殖」のヤマメではさらに少なくなると想定されますので、危機感のギアを一段下げていただければと思います。
実際、私も食べてみて、何も問題はありませんでしたし、その養殖場でも「問題なし」との事でした.
それでは次に…、もっと身近な問題として…
サーモンのお刺身は大丈夫か?
という疑問が当然浮かんできます。
では、普段食べている回転ずしのサーモンのお刺身はどうでしょうか?
先ほどの表では、サケ類にはアニサキスが寄生している可能性を紹介しました。
ちょっと不安ですよね。2017年頃には、芸能人がアニサキスに苦しむという騒動もありましたし…。
基本的にアニサキスは-20℃で24時間以上、冷凍しておけば死滅します。
それに加えて死後の処理(内臓を取り除くまでの時間)を管理すればアニサキスの問題はかなり低いと言ってもよいと考えられます。
追伸
各有名回転すしチェーン店も生食用は、必ず冷凍のサーモンも使用しているとの事ですので、さらに安心です。各社に電話して回った方もいるぐらいです(笑)
全国展開している人気の回転ずしチェーン3社に電話をして聞いてみました
まとめ
・寄生虫のリスクはもちろんゼロではない
・でもリスクゼロの行動なんてないから、すべての行動にはリスクが伴う事を理解していれば、お刺身も悪くない。
参考