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ウナギの稚魚(シラスウナギ)漁好調で今期終了【2020年ニュース】

2020年4月に嬉しいニュースが公表されました。

春らしいシラスウナギ漁のニュースで、今年のシラスウナギ漁が好調であった事を伝えています。 

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全日本持続的養鰻機構と日本シラスウナギ取り扱い協議会が水産庁シラスウナギの捕獲停止を全国に指導するように要請した。日本全体でのシラスウナギ漁が順調で、養殖池の容量の上限に近づいたことが原因である。19年漁期の捕獲量が過去最低の4トン以下であったのが、20年漁期はすでに19トンに達したと報告された。

日刊水産経済新聞 |THE SUISAN-KEIZAI DAILY NEWS

大漁で養殖池がいっぱいになるので、漁を中止しましょうという事ですから、かなりの大漁と言ってよいと思われます。

昨年のシラスウナギ漁は、不漁に終わり、今後は本格的にウナギを食べられなくなるのではないかというニュースもありましたので、本当にうれしいニュースです。

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更に嬉しい事として…

捕獲されたシラスウナギは養殖池に入れられて、半年を目処に出荷されます。つまり6月以降は流通量が増加して、店頭価格も多少下がるのではないかと考えられます。(実際の価格の変化はページ下のリンクから)

https://shigehara-nishiki.hatenablog.com/entry/20200709eel_fee

毎年異なる漁獲量

過去10年の国内のシラスウナギ漁獲量をまとめました。

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年によって漁獲量にばらつきはありますが、気になるのは2010-13年と2018-19年で、壊滅的な漁獲量と言えます。ウナギの個体数が減少しているのは間違いないのですが、それ以外に何か原因があるのでしょうか?

シラスウナギ減少の理由

海洋開発研究機構によりますと、その原因はウナギの個体数の減少だけでなく、赤道付近の気候・海流の年毎の変化にも原因があると分かりました。

黒潮にのれるか?日本に近づけるか?が大きな問題

ウナギは台風と同じルートをとって日本にやってきます。

つまり赤道近くのマリアナ諸島沖で卵から生まれ幼生が、黒潮にのって成長しながら北上してシラスウナギとなって日本に到達します。

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研究報告によりますと、年によってシラスウナギの量に違いがあるのは、下の2つが大きな問題となっています。

  • 生まれたばかりのウナギの幼生が日本に向かう黒潮に乗れるかどうか?
  • 黒潮がまっすぐ流れて、日本沿岸に近づけるかどうか?

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かなりスケールの大きな話です…。3000Kmもの旅路ですから、その道となる海流はシラスウナギたちにとって大切な要素だという事が分かります。

そして、シラスウナギが不漁の年には、

  • 海流の乱れでが原因で、生まれたばかりの稚魚が黒潮に乗りにくい
  • 黒潮が曲がって流れるので、シラスウナギが日本沿岸に近づけない

という現象が起こって、全体的に漁獲量が下がるとの事です。

海流の変化はウナギの生態に大きな影響を与える可能性があります

黒潮の変動がウナギに影響を与える? – 黒潮親潮ウォッチ

不漁の年には、こんな地球規模の変動が起こっていたのです。

シラスウナギの生態から地球規模の環境問題を考えさせられるニュースでした。

来年もたくさん捕れますようにと願うばかりです。

本の紹介

東京大学の塚本先生の本です。先生はウナギの卵を始めて自然界で見つけた方です。ウナギの生態からウナギ漁、養殖の事まで分かりやすく説明されています。

世界で一番詳しいウナギの話

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まとめ

・2020年はシラスウナギ漁が好調

・ウナギの店頭価格も下がる可能性がある

・ウナギ不漁の原因には、個体数の減少以外にも地球規模の気候周期・気候変動が関係している

 

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