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アマゴの生態06 サケ類が白身でも泳ぎ続けられる理由

前回の記事(アマゴの生態05)では、赤筋と白筋のお話をしました。下のリンクはその記事です。

アマゴは白身

shigehara-nishiki.hatenablog.com

その記事を書きながら思ったこと(納得した事)があります。

● 感想1:マグロは回遊しているから酸素がたくさん必要で、赤筋が多いというのは納得できる

感想2:一方のアマゴは、餌が上流から餌が流れてくるのをじっと待っているから、瞬発力が必要(だがら白筋)なのも納得できる。

 

納得できます…しかしですね・・・その反面、反論もあります。

サケ類も長距離を泳ぐという反論

反論1:流れの速い渓流に住んでいるアマゴは、餌が流れてくるのを待っている時も、常に泳ぎ続けなければならいから結構泳ぐのではないか?

  アマゴの好む流速は約30cm/秒です。

  これをアマゴの起きている時間を12時間として計算すると4730Km/年です。

反論2:さらにサツキマスのような降海型になったら海に旅に出なければならないから結構な距離を泳ぐのではないか?下記は、あくまでもサケのデータですが、

  彼らは川を下ったら、沿岸沿いにアラスカまで行きます。

  4年間で行って帰って16000Kmですから、一年で4000Kmです

サケの回遊は16000Km

サーモンミュージアム(鮭のバーチャル博物館)|マルハニチロ株式会社

 

確かにサケって泳ぐイメージがありますが、上記のように調べてみると一年で4000Km も移動しているのですね。本当にすごい移動距離です。

そして、この移動距離は、なんとクロマグロの回遊距離と同じでした。

クロマグロは一年に4000Kmを回遊する

マグロやホホジロザメの泳ぐ速さや回遊の規模は海生哺乳類のそれに匹敵する│研究成果│国立極地研究所

という事は、サケ(白身魚)の泳ぐ距離は、マグロ(赤身)と同等という事です。

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それでは、サケ類は白身なのに、赤身のマグロ同様に、泳ぎ続ける事ができる秘密が何かあるのでしょうか?絶対、何かあるはずです。

かろうじて見つけたアブラビレ

専門的な文献も調べてみましたが、かろうじて見つけられたのはアブラビレの存在でした。アブラビレは下図です

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このヒレはサケ目サケ科(サケやアマゴ、イワナなど)に共通してみられます。

アブラビレの機能を研究した報告によりますと

サケ科が共通して持つアブラビレを切除する事によって、尾びれの振り方が8%増加する事が判明した。つまり、このアブラビレは効率よく泳ぐために必要だと考えれれ、水の流れによる渦を整える整流板の役割を果たしている可能性が考えられる。

コラム:脂鰭(あぶらびれ)の役割 -ある研究論文の紹介-|さけますセンター|FRA

とありました。

確かに、このアブラビレ、緩やかな流れの中で泳ぐコイなどにはありません(下図)

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コイのような魚に対して、渓流で生きるアマゴにとって、アブラビレの存在は大切なものなのかもしれません。

そして同様に長距離を回遊するサケにとっても重要なのかもしれません。

 

しかしながら、今回の調査の結論として、

サケ類のアブラビレの存在が、コイに対して考えれば有効という結論が得られましたが、マグロに対してどうなのかという疑問は残ってしましました。

今後、さらに調査を進めていきたいと思います。

 

まとめ

・サケ類(白身魚)とマグロ類(赤身魚)の泳ぐ距離には、大きな違いがない

・サケ類にはアブラヒレという効率良く泳ぐためのヒレがあるが、それによってマグロと同等の泳力を得られるか否かは不明

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