フナ03【フナを食べる文化】滋賀旅行の前に読む・縄文時代のフナ食
今回はフナと人類の食文化との関わりを考えてみたいと思います。
しかしながら、ヘラブナを釣って、それを食べているというヒトはこれまで聞いたことがありませんし、
スーパーの魚屋さんでも、ほとんど見たことがありません。
私も岡山県と滋賀県のスーパーで見ただけで、それ以外は記憶にありません。
しかし、遺跡の発掘調査から、フナを食べるフナを食べる文化は少なくとも6500年前からあったと言われております。
6500年前とは、一体どのような時代でしょうか?
縄文時代です
縄文時代のフナ文化
フナを食べる文化は、現在までに明らかになっているだけで、縄文時代まで遡ります。
縄文時代の遺跡である赤野井湾遺跡(滋賀県)では、その遺跡からコイやナマズとともに、多数のフナの骨が見つかっております。
この時代には、まだヘラブナは居ませんが、その原種であるゲンゴロウブナの骨も多く見つかっています。
ゲンゴロウブナは比較的深い水域に住んでいて、産卵期にのみ湖岸に近づきます。
遺跡では、そのゲンゴロウフナの数が多い事から、その時期に効率よくゲンゴロウブナを捕まえる「ある種の漁業活動」を行っていたのではないかと言われています。
それでは、縄文人はどのようにフナを食べていたのでしょうか?
縄文時代ですから、焚火で焼き魚にしていたのしょうか?
縄文時代のBBQ
調理法
実は意外に手が込んでいます。
当時の調理場の調査では、焼き石とフナの骨が見つかっています。
この点から焼き石の上に葉っぱで包んだフナを入れて、蒸し焼きにして食べていたと考えられています。蒸し焼きですから、ふっくらとして美味しい食べ方です。
火加減も気にしなくても良いですし、作る側にも優しい調理法ですね。
保存食
さらに、
縄文人は捕ったフナを単に食べていただけではありません。
彼らは保存食も作っていたと考えられています。
現代のように「干物」だったかも?
先述の赤野湾遺跡の中には、フナの頭だけが大量に捨てられている穴が存在する事が明らかになっています。
つまり、大量のフナの頭を切り落とす作業をしていた訳です。
この点から、縄文人は漁業活動によって大量に得たフナを保存食にして食べていたのではないかと考えられています。
縄文人が賢くフナを食べていた事が伺えます。
それでは、果たして彼らはどのような味付けでフナを食べていたのでしょうか?
縄文時代の調味料
塩
塩は、縄文時代に作られた調味料です。
縄文時代と言えば、縄文式土器ですが、土器による塩の製造が始まったと言われているのが縄文時代後期です。
これは土器製塩と呼ばれて、海水を煮詰めるというシンプルな手法を使用していたと考えられます。
発掘される土器の中には、表面やその内側まで塩の結晶が見られる土器があります。
海沿いの集落では、この塩をフナに塗って食べていた可能性がありますね。
香辛料
また塩以外にも香辛料も存在したと言われています。
これらも調味料も縄文時代末期には使われていたのではないかという考えです。
塩や香辛料は食べるに良し、保存食に使うに良しですから、当時は非常に重宝されたと思われます。
追記
滋賀県の遺跡で見つかる魚類の骨は、半分以上がフナで、コイは1/4 以下という事が明らかになっています。
つまり、我々の祖先の食事の一部は、確実にフナだった時代があるという事です。
タイムスリップできるなら彼らのBBQに参加してみたいものです。
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まとめ
・フナと人類のつながりは有史以前から
・縄文人はフナの漁業もしたし、保存食も作った
・彼らの「フナ食文化」は比較的、おいしそう
参考
http://shiga-bunkazai.jp/調査員オススメの逸品-第223回%E3%80%806500年前の縄文時代の/
[コイ科魚類咽頭歯遺存体から見える先史時代の漁撈と稲作との関係に関する一考察]……中島経夫