アマゴの生態02 幼形成熟する生物
前回の記事では、アマゴとサツキマスは同一の種であり、アマゴは淡水で生活している陸封型の成魚(大人)で、サツキマスは川から海へ出た降海型の成魚であると紹介しました。
パーマークが消えたら
それでは、陸封型のアマゴと、降海型のサツキマスの生活スタイルの変化を見てみましょう。
図にありますように、稚魚からサツキマスへの変化は、性成熟、スモルト化(パーマークの消失)、海水への適応という変化を伴います。一方のアマゴはパーマークを残したまま、稚魚がそのまま性成熟をしたものと考えられます。
この「稚魚の特徴を残したまま性成熟をする」というアマゴの現象は、ウーパールーパーなどで観察される幼形成熟(ネオニティー)の一種だと考えられています。
それでは、幼形成熟とは何でしょうか?
幼形成熟 ウーパールーパーも人間も?
ウーパールーパーはサンショウウオの仲間のメキシコサラマンダーの幼形成熟です。彼らはエラが外に張り出している幼体の特徴をもったまま性成熟を遂げています。
幼形成熟…
何か特殊な例のように思われるかもしれませんが、実は人間も幼形成熟であるという仮説もあります。
それに拠りますと、人間はチンパンジーの幼形成熟であり、チンパンジーの子供の特徴である「薄い体毛」「小さなアゴ」「平たい顔」が解剖学的に人間に似ていて、さらに成長にかかわる遺伝子が働くタイミングも人間の方が遅いことが報告されています。
幼形成熟のメリットとしては、幼形であるために体内の組織・器官の可塑性(柔軟な変化を起こす性質)が高いことが挙げられています。
人の脳が発達したのは、幼形成熟のおかげで、脳組織の可塑性が向上したからではないかという事です。
ヒトもアマゴも今後の進化が楽しみです。
まとめ
・アマゴもヒトも幼形成熟である可能性がある
・幼形成熟は成長してない反面、これから発達するかもしれないのだ。
参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/35/9/35_9_650/_pdf