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アマゴの生態01 パーマークが消えたら…

SHIMANOさんの魚拓カレンダー3月の魚はアマゴ(雨子)です。

ヤマメ・イワナニジマスとともにサケ属に分類されます。

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そして、私が生活をしております四国では、アメゴ(雨子)と呼ばれています。

雨が降ると活性が上がるために、そう言われているらしいです。雨のおかげで餌が流れてきますし、川の濁りによって天敵(鳥、イタチ、熊)から身を守ることができるために、積極的に餌をとりに行くとの事です。

 

アマゴとサツキマスの関係

2つの魚は同種です。

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   上)アマゴ 下)サツキマス 引用:WEB魚図鑑

アマゴは淡水で生活している成体(大人)であり、サツキマスは川から海へ出た成体です。

アマゴには、体の側面に特徴的な模様、パーマーク(Parr Mark)があります(側面の緑色の指先のような模様です)が、サツキマスでは、そのパーマークが完全に消えていますね。

 パーマーク

ところで「Parr Mark」の「Parr」ですが、「サケの幼魚」という意味です。つまり「Parr Mark」を直訳すると「サケの幼魚の模様」になります。

サケのパーマークを見てみましょう(下図)。

アマゴと同じく、サケのパーマークも幼魚だけの特徴で、大きくなるとパーマークは消えていますね(新巻鮭を見ても、そう思います)。つまりパーマークが消えて一人前ということです。

パーマークが消えたら

パーマークが消えて体が銀色になるのは「スモルト化」と言われる現象です。

このスモルト化という現象が始まるのは、「体のサイズ」が一定を超えた時であり、同時に、体が海での生活に適応できたという事を示しています。

同様にこの時期、餌場を確保するための縄張り形成をやめたり、川の流れに逆らわないという行動が観察でき、降海する準備を進めていきます。

 

体が大きくなるのは生存には有利ですが、たくさんの餌が必要とします。その問題を解決できるような戦略として、餌が豊富な海に出るという生態が受け継がれたのではないかと考えられます。

また、この戦略には大きくなったアマゴが稚魚たちの餌まで食べてしまわないという利点や、川の環境変化があった際にも、サツキマスから子孫を残せるという利点もあるように思えます。

「本当によくできているなー」と感心します。

 

まとめ

・アマゴとサツキマスは同種

・パーマークは子供の証で、アマゴにはあるが、サツキマスにはない

・サケも同じく稚魚にはパーマークがあるが、大きくなるとなくなる

 

参考

桑田知宣(2018)日本水産学会誌83、4、p548

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